2010年2月 のアーカイブ


 「フルHD・フルデジタル」と、映像関係を中心にフィーチャーしている当ブログですが、先日来、お伝えしているように、音声システムに関しても、「使いやすさの向上」をコンセプトに、比較的大規模な見直しを計っています。
 まずは、配線をほぼすべてやり直し、より教育機関として相応しい(カタい表現ですが)、より現場の仕様に近づけた「本物に近い」システム設計としています。もちろん、経年的劣化の解消も目的。
 映像関係のケーブル径より細い音声ケーブル達。写真のこれらのケーブルは、「オーディオジャックパネル(バンタムパッチ盤)」への結線を待っています。

 (明日につづく・・・)
    


 今日は、昭特製作所製品が搬入されました。まずは黒いハンドルから下部にあたる、ペデスタルドリー「TP-80B」。
 ところで、ペデスタルドリーとは何か、というと、ビデオカメラで言えば、三脚の「足」にあたる部分。ただ、簡単に高さが変えられる機構を持ち、下に付いている「ドリー(タイヤ)」を操舵させるためのハンドルが付いている点で、通常の三脚とは大きく異なります。もちろん、その上に乗載されるテレビカメラが大きく重たいものなので、頑丈で立派なデザインになっているわけです。
 


 写真は、アメリカClearCom社製「クリアーカム デジタルマトリクスシステム レバーキーパネルステーション V12LD」です(名前長いですね(笑))。
 クリアーカムとは、いわゆる「インターカム」といって、番組製作中にスタッフ同士がコミュニケーションをとるための機材。つまり、音質が良い電話のようなものです。
 青色に発色している文字の部分に、実際は話の相手先名称を表示。各々にレバーキーが付いていて、それをONにすると、会話ができる、という仕組みになっています。
 相手先の名称を決める目的で、雰囲気をつかむために、単体で電源を入れてもらっているところ。


 2/14のクイズ、正解は、(B)のケーブルにつける沢山のBNCコネクタ、でした。

 BNCとは、Bayonet Neill Concelman(※)の略。主に、放送業務用途の、映像信号(通信)の伝送ケーブルとして、使用されているケーブルコネクタです。
 家庭のテレビとビデオを繋ぐのに使用するケーブルでは、赤・白・黄色のRCAケーブル(アメリカの元RCA社が規格を開発したケーブル)が有名ですが、BNCは、「引くだけでは抜けない」などの信頼性の高さから、放送業務用のケーブルコネクタとして、一般的になりました。
 加工したケーブル1本1本に、BNCコネクタが取り付けられていきます。

(※ BNCの名前の由来については、諸説あります)

一心同体的!

2010年2月18日 HD機材設備


 さて、写真の機器2つ。SONY製らしいクールなデザインですけれど、実は、これが、東放学園専門学校テレビジョンBスタジオ、特に映像システムの心臓部にあたるものなのです。
 SONY製
「スイッチャープロセッサ MVS-6000」と
「ルーティングスイッチャー IXS-6700」。
 一心同体的なこの2つの機器が、スタジオフロアーとサブコントロールルーム両方の映像システムを動かすことになります。
 具体的には、今後説明します。

再び雪の朝

2010年2月18日 雑感


 2月に入って二回目の、白い朝。今年2月の東京は、雪が多いですね。
 ところで、在校生や卒業生の方から、「ブログ毎日見ています」という話を聞くことが、多くなりました。
 工事の風景を、いつでも自由に見学できるというのは理想なのですけれど、それができない。その代わりにブログで詳しく紹介する、ということが、主旨の1つだったりします。いずれにしても、ご覧いただいて、感謝でございます。
 
 ちなみに、Googleで「HDTV化」というキーワードで検索をかけると、6〜8番目くらいにヒットするようです。

絶対欠かせない

2010年2月17日 工事,雑感



 今回の、フルHD化・フルデジタル化更新工事ですけれど、それを達成しているのは、「高速化」「集積化」。いずれも、デジタルの技術が下支えになっているわけです。そして、この更新工事作業も、特に映像関係に関しては、すべて、それらの技術が盛り込まれた、最新の機器を選択しています。

 そうした沢山の機器を生かす環境を作るには、デジタルのように量子化できない、ベテランの職人の方々の「目に見えない経験値・技術」といった、言わばアナログ的な、過去から途切れのない「技」が、絶対欠かせないのです。
 
「デジタル」の語源でもある「ディジット」。これはそもそも「指」という意味。付帯的に、「長さ」を意味します。「アナログ(連続)」と、そう大きく変わりありません。


 制作卓のVE(ビデオエンジニア)のスタッフが座る辺りには、SONY製マスターセットアップユニット「MSU-900」が入りました。複数台(今回のシステムでは8台)のテレビカメラの色や各種設定などを、集中的に制御するための機器。
 実習授業などで使いやすくするため、パネル全体が左右にスライドする構造にしていただきました。学生に説明する時は手前に、そうでない時は右奥へ移動。スペースと効率の良さを確保しています。

結線作業引続

2010年2月17日 工事


 昨夜は、再び雪。寒い初春が続いています。
 サブコントロールルームでは、ケーブルに端子を付ける作業と、完成したケーブルを機器に結線する作業が続いています。
 写真中央の19インチラックは、見える部分に関しては、ほぼすべて結線が終わっている様子。


 はい、そして、1つ前の記事でのケーブルは、どこに繋がっているのか、というと、写真右の同じようなものが3式、縦に並んで見える機器。
 ビデオトロン製の、「70モジュールシリーズ」です。
 具体的な機材名がないのは理由があって、様々な目的・用途の機器(基板)の集合体だからなんですね。箱がいくつか並んでいるように見える部分があるのですけれど、これら各々が、それぞれ別の役割を負っている、つまり、機器の集合体。喩えれば、お中元などの「調味料詰め合わせセット」のようなもの。
 この集合体の中には、アップコンバータボード(SDTV※映像信号をHDTV※規格に変更する機器)や、HD VDAボード(HDTV規格の信号を増幅して分配する装置)などが、入っています。

※SDTV スタンダードディフィニションテレビジョン いわゆるアナログ放送に使用されている、走査線525本の方式)
※HDTV ハイディフィニションテレビジョン いわゆるデジタル放送に多用されている、走査線1125本の方式。「ハイビジョン」と呼ぶ場合もある)


 機器への結線が始まっています。
 我々(特に自分)のような素人が機材に結線する場合、結構「大騒ぎ」というか、「四苦八苦」というか、比較的「ビックイベント」的な雰囲気が漂うのですけれど(笑)、そのような空気感はほとんどありません。良い意味で「淡々」とスムーズに作業が進んでいきます。故に、遠目で見ていても、「結線している」というふうに見られない。いつの間にか繋がっている、そんな感じなのです。

圧着して・・・

2010年2月16日 工事


 長さを揃えて切られていた、映像信号などを通すケーブルの先には、次々と手際良く、BNC端子が付けられていきます。今回の更新作業で、ほぼすべて新しいケーブル・新しい端子に。
 ケーブルの先端を加工するように3層に切り分け、取り付けていきます。いったい、何回同じ作業が繰り返されるのでしょうか。
 写真は、ちょうど、端子の金属部分をケーブルに圧着している最中。


 写真上は、1/30の記事に載せたもので、写真下は、昨日撮影したものです。ほぼ同じアングルからの撮影。およそ、半月で作業がかなり進み、随分と様変わりしました。
 あと、1週間ほどで、ほぼすべての機材が入る予定。学校の、ややタイトなスケジュールに、いろいろと協力をしていただいています。ありがとうございます。

 先日の土曜日は、特に綺麗に整然と作業が終えられていて、安全で見学にも支障がない、ということで、翌日の日曜日に行われた「オープンキャンパス」では、放送技術科の希望で来校された方々を中心に、作業途中の現場を、実際にご覧いただきました。
 次にご覧いただけるチャンスは、3/27と3/28に予定している「オープンキャンパス」。完成後の初公開です。もちろん、見るだけでなく、使うのですけれど(笑)。


 スイッチャー周りの写真。機材の大半が組み込まれて、この一部分だけでも、かなり、それらしく本格的になってきました。
 写真のやや右側にある、スイッチャーメニューパネルの左側の空間には、番組音声を出力するスピーカーが入ります。