‘照明クリエイティブ科’ カテゴリーのアーカイブ
受話器を持って・・・
2012年3月22日 実習風景,照明クリエイティブ科
今日は、まずは、電話で話をしているように見える写真から。
しかし、このように両端が丸い、この形の受話器も、今となっては、結構ノスタルジーでしょうかね。
手袋をはめて、真剣な表情で上を見ている様子。
さて、見ている先には何があるのか、というと、2枚目の写真。
実は、あるホールのステージ上でして、2月17日に続く、照明クリエイティブ科「舞台照明実習」です。
灯体(ライト)と、電源を供給する回路と、照明調光卓とが、正確にリンクしているかどうかをチェックしているところ。
照明調光卓が、ステージから離れた所にあるので、電話と同じような機能を持つ「インカム」を使って、連絡を取り合いながらの作業となるわけです。
さらに、その照明調光卓はどこにあるのか、というと、3枚目の写真。
手前側に、ステージ上で受話器を持つ学生、そのやや左奥に、蛍光灯に照らされている細長い部屋が見ていますね。
ここが、「照明調光室」。ほとんどのホールでは、ステージや客席に対して、この位置にあるのですが、お客様が入る時間になると、暗くなり目立たなくなるので、気がつかないですよね。
4枚目の写真が、その調光卓と、回路チェックに勤しんでいる学生。
黒いツマミのような物が見えますけれど、このレバーを向かって左側に倒すと点灯する、という仕組みです。
トータルで三日間に及んだロケーション、そして今回のスタジオでの撮影と続き、いよいよ、ドラマの収録も大詰め。
上の写真左は、サブコントロールルームのスタッフ。手前から、ディレクター・タイムキーパー(記録)そして、奥には音声(ミキサー)と並びます。
「見守っています」という言葉、まるで常套句的に使う事も少なくないわけですけれど、特にディレクターの表情は、正真正銘の「見守り」でしょうね。ミキシングを担当する2人も含め、真剣さも緊張感も、非常に伝わってきます。
そしてこちらは、スタジオフロア。右の写真は、「マイクロフォンブームドリー」を操作するフロア音声の学生でして、左手で操るダイヤルの先には、ガンマイクが取り付けられています。
暗くて解りづらい写真で恐縮なのですが、純粋にカッコ良い!と感じますね。何よりも、その真剣さの気持ちが、素敵なのです。
こうして撮影は全て終わり。「クランクアップ」を迎えました。
最後は、関わった学生・職員なども含めて、集合写真の撮影。
楽しそうな表情も、沢山見えますけれど、
記念写真というよりかは、この作品に手向けた、責任感の表明。
「私たちが責任を持って、しっかりと作りました。よろしくお願いします」
と、言うことなのです。
けれどもしかし、素敵な写真ですよね〜。
後で困らないための数々
2012年2月17日 実習風景,照明クリエイティブ科
さて、照明バトンへの吊り込み作業が終わると、すぐに、灯体の点灯チェックと「仮シュート」の作業へ。1枚目と2枚目の写真です。
点灯チェックでは、差し込まれたコンセントや回路に、間違いがないかどうか、正常動作するかどうか・・・などの確認の他、後の作業で、下から「介錯棒(さお)」などで灯体の向きを変える調整を行うのですが、ある程度の硬さで、向きなどが変えられるようなネジの締め付けになっているかどうか、・・・。
また、一般照明は、集光(拡散)の度合い(狭範囲か広範囲か)を調整できる機構を持っているのですが、その、光の広がり具合を整えたり、灯体の向きを、おおよその向きに整えたり・・・などなど。
これらを、使用する全ての灯体に対して、行っていきます。
役割分担の同時並行で、床に直接置いたり、スタンドに載せたりする灯体用の、電源確保の作業も。
ステージの脇には、フロアーコンセント(フロアーポケット)が、何カ所か設備されているので、そこに専用の電源ケーブルを差していくわけです。
ただし、家のコンセントとは違って、照明調光卓による制御が絡んでいるので、やはりこれも、あらかじめ決めていた「仕込み図」通りに。3枚目の写真です。
そして4枚目の写真。
特に、床に置く灯体の電源ケーブルは、途中で抜き差しする必要があるので、回路側(調光卓側)と灯体側の関係性を示す番号などを記入。
これを一致させておかないと、消えていて欲しい灯体が、コウコウと灯ってしまったり、色が変わってしまったり、と、アベコベになってしまうのですよね。
簡単に撮影できないほど・・・
2012年2月16日 実習風景,照明クリエイティブ科
前回は、2月3日に紹介しました、照明クリエイティブ科2年生の実習授業「舞台照明実習」の様子。実習場所は、府中にある大型ホールです。
使用する灯体を、確認しながら各所から集めた後は、「照明バトン」に吊り込んでいく作業。
「ハンガー(吊り下げる道具)」を取り付ける、長いパイプ状の物と、電源を供給するコンセントがあって・・・という照明バトン。
これらを、立って作業できる高さまで、上から降ろして、あらかじめデザインしていた「仕込み図」通りに、次々と吊り込みをしていきます。
もうとにかく、方々で一斉に、大勢の学生が作業に取りかかるので、撮影するのも大変。動きも速くてブレブレの写真ばかりで、こうして掲載できるのは、30枚撮影して1.2枚あるかどうか、というところ。
「あっ、あの学生を撮影しよう」と近づいてカメラを構えるタイミングになると、作業が終わり、次の場所へと移動する。撮影に失敗して、次の他の学生を撮ろうと思ってレンズを向けると、やはり作業が終わって・・・の繰り返しなのでございます(苦笑)。
撮影者の愚痴ではなくて、それだけ、ペースが速い、ということ。
まあしかし、速さを強調していますが、照明バトンを上に戻してからでは、間違いの修正は困難ですし、落下防止チェーンの取り付けは「必ず!!」。作業の確実性、そして「安全第一」は、徹底されている上での速さなのです。
随分と久しぶりの動画は、「ドラマ制作」のあるシーンの、ある1カットの様子。
ドラマのスタジオ収録では、3台から4台前後のテレビカメラを使用して、それらを切り替えながら、1つのブロックをそのまままとめて撮影していく、ということが多いのですが、演技やカメラアングルなどの都合で、「別撮り」を行うことも、非常に頻繁にあります。
今回紹介している動画の部分は、ご覧の通り、ハンディカメラをセットの上に置いて、出演者の近くの回り込んだ位置からのアングル。
この距離では、他のカメラの画面に、ハンディカメラが入ってしまうので、このカットだけを別撮りする、・・・というわけです。
演技の邪魔にならない位置から撮影した動画なので、石井七海さんの表情が見られなくて恐縮ですけれど、本番直前から、本番中の雰囲気をご覧いただいて、その「空気」を感じていただければ、幸いでございます。
1つのブロックの撮影が終わると、次のブロックの撮影。それが終わると、また新たなブロックの撮影・・・というふうに進めていく、ドラマの撮影。
もちろん、経過時間による、一定の法則や決まりがあるわけではなくて、演技上、あるいはそれらの設定上、分けてやるべきところは分け、続けてまとめるべきところはまとめて撮影をしていくのです。
前回、2月7日の内容に続く、「ドラマ制作」スタジオ収録の様子。
リハーサル中は、1枚目の写真のように、担当する職員がアドバイスを。
僅かな「サイズ」や「アングル」の違いなどで、「あがりの画(え)」は、随分と違ってきます。言うまでもありませんけれどね。
ただ、時間は、余りあるほど沢山はないので、「さっさっさっ」と、合理的に修正。後で指示するだけでなく、その場ですぐに!が大事なのです。
同じ光景は、音声を担当する学生へも。
2枚目の写真、マイクロフォンブームドリーを操作する学生と、音声の担当職員。
左手で握るダイヤルでマイクの向きを操作する、という方式なのですが、マイクが目的の方向に合っているのかどうかを、違う角度から見てあげて、アドバイス。
これこそ、後で説明しても、あまり意味がありませんよね。
「ドラマ制作」スタジオ本番中の、サブコントロールルーム(サブ)の様子です。
当ブログでのサブの写真は、沢山の液晶モニターにそれぞれ映像が映し出されている、という光景が多かったと自覚していますけれど、今回は、暗くスマートな雰囲気。
ドラマの場合は特に、「その映像・その演技・その瞬間」に集中しやすいように、受像は必要最低限のモニターのみにしています。1枚目の写真。
2枚目の写真、手前にディレクター、次いでタイムキーパー(記録)のスタッフ。もちろん、学生です。
ディレクターは「演出」を、タイムキーパーは、その結果とも言える、芝居や時間などの「記録」を収めていく、という仕事を担当。
ごく簡単に言えば、同じ芝居(撮影ブロック)を2回以上撮影したり、隣り合ったシーンが日替わりの撮影になったりすることもあるのですが、これらの整合性をとる大事な役割を負うのがタイムキーパー。
ですから、ディレクターとペアーになっての、大切な「二人三脚」的関係なのです。
1枚目の写真は、女優の石井七海さん。
今回は、石井さんのお宅にお邪魔して、ある日の昼下がり、しっとりと、そしてゆっくりと物思いにふける姿を撮影したものです。
・・・ではなくて、ですね(笑)
実は、超!本格的実習授業「ドラマ制作」スタジオ収録での1コマなのです。
「いよいよ撮影開始です!」と宣言して、行く年月。まあ、大げさですけれど、昨年の12月26日に続くご紹介です。
当ブログの左にあるカテゴリーで、「ドラマ制作」をクリックしていただくと、凝縮されたドラマ制作の様子をご覧いただけるので、ぜひ、ご利用ください。
話は戻るのですが、1枚目の写真の「光」「明かり」は、本当にリアル。
スタジオでの様子、と言うことは、当然の事ながら、照明のスタッフが駆使をして、「そのように見える」ように作った、照明の環境なのです。これは、言われないと解らないでしょうね。
これが、照明の力!!
まさか、とは思いながら、誤解なきようにお伝えするのですが、スタッフはすべて学生。職員スタッフは、アドバイスと下支えをしているに過ぎません。
「速い!」という、強烈な印象を
2012年2月3日 実習風景,照明クリエイティブ科
「目まぐるしく・・・なかなか撮れない・・・」というのは、写真を撮影する側の単純なる思いでしてね、スピーディーで、無駄のない、意気揚々とした場面である、こういうわけです。真に。
僅か数分で灯体や機材を機材車から降ろし、次に、使用する灯体の設置準備に取りかかっている様子。1枚目と2枚目の写真です。
照明の灯体というと、「黒っぽい」くらいのイメージで、たとえば客席の遠くから見ると、あまり違って見えない、というところがありますが、実際には、非常に沢山の種類(違い)があるのですよね。
さらに、あらかじめデザインされているライティングプランによって、どの場所にどの灯体を使用するかが決まっていますからね。
もう本当にドンドンテキパキと、作業を進めていくのです。
そして3枚目の写真。
ホールのステージは、立派で奇麗な木床が敷かれているのですが、この「床の染まる色」もデザインの中に入るわけでして、それらの色を奇麗に出すように、グレーのパンチカーペットを敷くのです。
もちろん、この作業も学生自身で。
手分けをしての、すべてが同時並行。一挙に手際良く・・・なのです。
とにもかくにも、まず挨拶!
2012年2月2日 実習風景,照明クリエイティブ科
「相手を敬(うやま)う」「感謝の意を伝える」というような礼儀。これは、仕事をする上でも欠かせないですよね。この気持ちが土台にあり、その上に仕事がある、と言っても過言ではないでしょう。
ですから、すべての作業を始める前、とにかく、一番最初に、まずは挨拶をし、それらの気持ちを伝える、ということをするのです。
1月19日に続く紹介となる、照明クリエイティブ科2年生の実習授業「舞台照明実習」の様子。
実習場所は、府中にある大型ホールです。
1枚目の写真は、まさにその様子でして、向かって左側にいらっしゃるホールの係りの方に、学生全員が向かい、「お世話になります。よろしくお願いします」をしているわけです。
繰り返しますが、こちらの作業開始前にご挨拶申し上げることが、この順番が大事ですよね。
その直後は、間髪入れずに、機材降ろしの作業を開始。
ホールの機材の他に、学校からも相当量の機材を持ち込んでの実習なのです。2枚目の写真。
学生の作業スピードが早く、やや薄暗いということもあって、ブレ気味の写真になり恐縮ですけれど、返って、その「スピード感」はお解りいただけるでしょうか。3枚目の写真です。
それぞれを結びつける
2012年1月21日 実習風景,照明クリエイティブ科
前回より、少し時間が経ちましたけれど、何の続きかと言うと、1月15日の続き、でございます。
1枚目の写真。
学生がドラマセットに上がっている様子。カメラ側だけから観るのではなくて、こうして、出演者のポジションから観るということも大事。なぜならば、そこに、あるいはその周囲の美術セットに照明をあてているからです。簡単に言えば、ですけれど。
その場から観れば、どの位置の照明がどの程度あたっているのかを、効率良く理解することもできますしね。
もちろん、「テレビ照明」ですから、テレビカメラを通しての映像も観て、照明のあたり具合を確認することも。2枚目の写真です。
照明プランをどのようにすれば、出演者にはどのようにあたり、カメラを通すとどのように見えるのか。確認したり想像したりして、それぞれの要素を有機的に結びつける。これらが欠かせない事なのですね。
考え備え・・・演じて楽しんで
2012年1月19日 実習風景,照明クリエイティブ科
「らしく見せる」ということ
2012年1月15日 実習風景,照明クリエイティブ科
さあ、1枚目の写真をご覧いただくと、どのような時間設定の照明デザインなのか、すぐにお解りいただけるでしょう。
照明クリエイティブ科1年生の、ドラマセット・ドラマ照明に関する実習授業の様子です。
オレンジ(アンバー)色の陽射しに、長い陰。夕焼けの光に、夕方の部屋。
画面に時計が写らずとも、台詞にそのような表現がなくても、この光景を観れば、おのずと夕方であることが解るというわけでしてね、普段、夕方の光、夕方の陰を、意識的に観ていなくても、感じてはいる。それと同じ様になっているからです。
照明は、ただ明るくするだけではなく、その「状況」を、ごく自然に伝える。言うまでもなく、非常に大切な役割を負っているのです。
2枚目の写真。
玄関らしいライティングが観察されると思いますが、灯す範囲が狭くなっていて、リアルですね。この部分は、天井もあって狭い場所で、照明を作りづらい環境ですが、これもやはり、しっかりと仕込んで、そのように見せているのです。
いったい、どのようにしているのか。これは、あえて、皆さんのご想像にお任せすることにしましょうか。
「夜の暗さ」を照明で
2012年1月13日 実習風景,照明クリエイティブ科
普段、目にしている光。まあこれは、必然的な情景なので、特に意識して観ることは少ないのですが、ただ、それを忠実に再現しようとすると、これがナカナカ難しい。奥が深いのですね。
しかも、前回もお伝えしたように、人の見た目と、テレビカメラを通しての見え方は違いますから、「リアルな表現」を達成するには、デリケートな作り込みが必要になる、というわけです。
カポックを使って、柔らかい照明について勉強した後は、「夜の光景」。
灯体にブルー系の色温度変換フィルターを取り付けている様子。1枚目の写真です。
これはちょうど、ドラマセット外側のベランダの方向からの灯体でして、つまり屋外からの夜の光という設定。
2枚目の写真をご覧いただくと解ると思いますが、「月明かり」ですね。
コンパクトデジカメの画像ですから、少し明るめになっていますが、テレビカメラで撮影すると、自然な仕上がり。
そして、ソファに、光を薄く載せると、さらに違う雰囲気に。生活感が強まって、また一段とリアルですよね。