‘放送技術科’ カテゴリーのアーカイブ
人も車も減って、見えているもの全体が、「ゆっくり」「しっとり」としているように見える、お盆。
学校も、総じてお休みをいただいておりましたが、実は、校舎の中では、一部の学生と職員による作戦潜行中でしてね(笑)。
今年も、夏の都市型巨大フェスティバル「サマーソニック 2012」に、東放学園専門学校と東放学園音響専門学校が製作協力! そのスタンバイ作業です。
スタンバイと言っても、使用する機材を、機材室から出すだけではなくて、現地での機材レイアウトと同じように機材を配置して、結線して電源を入れてチェックして・・・という、言わば「予行練習」。
職員は手伝ったりアドバイスをするくらいでしてね、主役はもちろん、学生達。主体的に積極的に作業を進めていきます。
3枚目の写真。MacBook Proに向かって、作業を続けている学生2人。こちらは、大型ビジョンに映像送出する出演者の写真と名前を加工して製作する作業。
Photoshopというアプリケーションなどを使用して、1枚ずつ、丁寧に合成していきます。
引き続き、ロケーションハンティングの様子。同じ公園内の別の場所へ移動しています。
「公園」をイメージすると、ほとんどの場合、植栽や木々、土に遊具というふうな、共通のイメージを持つわけで、つまりは大小はあっても、大抵それらの環境は整っている。すると、どこの公園でも、あるいは公園のどこでも撮影するなら一緒、と考えがちですけれど、たとえば、木々や植栽の密度、陽の当たり具合や周囲の細かなシチュエーションによって、少なくとも、芝居の仕方や映像の構図などは変わってくるのです。つまり、ドラマの様々な表現を左右するわけです。
逆を言えば、実際に放送されているドラマの、その中の公園でのシーンは、そのような吟味の結果によるものなのですよね。
実際のロケーションハンティングまでの間で、もう一度大掛かりなロケハンがありますから、今回は、「この撮影場所であれば、出演者はここに立って・・・この向きに座って」「カメラはこの辺りからかな・・・」「照明はこの器具を使って・・・」というふうに、大まかな雰囲気を掴む作業。
これが細かな材料になって、台本やカット割りが吟味され、イメージが音を立てるように具現化されていくのです。
ロケーションハンティング
2012年8月9日 ドラマ制作,実習風景,放送技術科,放送芸術科,照明クリエイティブ科
今日の1枚目の写真は、いきなりバスの車中から。しかも、路線バス。
中には、もちろん学生が乗車しています。
大勢で観光バスに乗車というのは、在学中に何回かあるとは思いますけれど、大勢で路線バスというのは、結構レアでしょうか(笑)。
一見、課外授業ふうですが、ただの課外授業ではなくて、4月から準備を進めている「ドラマ制作2012」のロケーションハンティングの模様です。
今回のロケーション予定地は、学校から路線バスで移動できる範囲にある、都内の某有名な公園。
到着した時の様子が2枚目の写真。今回は、学生のサポート役として、4名の担当職員・講師が同行です。
早速、ロケーションハンティング(ロケハン)開始。およそ50年前に整備が始まった広い公園。その中の撮影場所として想定される所を1つずつ観察。台本と照らし合わせながらの、確認作業です。
プロット(あらすじ)から台本に起こしたり、ロケーション先の候補を考えたり、シナリオハンティングをしたり・・・と、着々と準備を進めている「ドラマ制作2012」。
前期の授業期間中は、主に放送芸術科を中心に取り組んで来た実習授業も、今回お伝えする会合を境に、定常的な授業が終わったこれからは、参加するすべての学科に、収録に向けた準備が波及していくわけです。
ということで、この日のドラマ制作は、関わる全学科が集まっての、全体会議。
これからの具体的な準備やロケーションに向けた説明などが、本学園の倉谷顧問などから。1枚目の写真です。
次いで、この時点での台本が全員に配られ、それをまずは簡単に目を通す作業。これが2枚目の写真です。
「ゼロ」の状態からイメージが形作られ、少しずつ具現化されていく。特に台本はその象徴ですからね。
手にすると、ググッと気が引き締まる、そういう想いになりますよね。
1つ前の投稿になりますけれど、中継車に相当する映像システムを・・・と紹介しましたが、その完成型が1枚目の写真。「番組制作演習 中継先」の仮設サブコントロールルームの様子です。
写真には、すべてが見えていませんけれど、これらの機材などを、1つずつ運搬していたのです。
手前から、映像を切替えて選択するスイッチャー(テクニカルディレクター)、その奥にディレクターとタイムキーパーの制作系スタッフ。さらに奥に、ビデオエンジニアと並んでいます。
そして、そのビデオエンジニア(VE)の仕事の様子や使用する機材が2枚目の写真。この映像システムを構築するのも、このVEの仕事です。
左手の先にある機材、同じ物が上下に2つずつ並んでいるのですが、これがカメラコントロールユニット(CCU)。
名前の通り、カメラを制御する機器でしてね、これを使用して、カメラ同士の色合わせをしたり、明るさの調整をしたりします。
触れているのが、明るさ(アイリス)をコントロールするためのボリューム。
3枚目の写真。これが、仮設サブの全景でして、写真左には、音声のスタッフと使用する機材が並んでいるのです。
東放学園専門学校の、放送芸術科・放送技術科・放送音響科・照明クリエイティブ科・テレビ美術科、そして、東放学園音響専門学校の音響技術科の2年生による、大型実習授業「番組制作演習」。
前回は、テレビ美術科の本番前日スタンバイの様子をお伝えしましたが、今回は、放送技術科の前日スタンバイの様子を。
この授業は、スタジオで製作されるコーナーがメインではあるものの、「中継」の部分もあるのでして、少し離れた所にある別の校舎が、その中継先。
中継というと、「中継車」が使用されるのが一般的ではありますけれど、本校の授業は、その中継車に相当する映像システムを、「1からすべてを構築する」という方式。もちろん、構築するのは学生ですからね。こちらの方が、圧倒的に勉強になるからです。
ということで、使用する機材一式を、機材室から中継先まで、エレベーターも使用せず、1つ1つを手で運ぶ。この作業からスタートです。
写真は、梅雨明け前に撮影したものですが、すでに、暑くなっている時期。
学生は汗をかきながら、手分けして4往復から6往復して、機材を運んでいる様子です。
ワイシャツの学生は職員ではなくて、この日の日中に、就職活動に勤しんでいた学生。
ちなみに、後にこの学生、しっかりと、内定をいただいております。
さて、運動会の学生の活躍!は、一休みさせていただいて、今回は実習でもなく、放送技術科1年生の座学の授業を。
5月15日の当ブログで紹介した授業の続編です。
この授業は、実際の現場で活躍されている方をお招きして、番組制作技術に関わる事や環境・設備について、またそれらに交えて、現場での様々な経験談をお話しいただく、という授業。
今回、ご担当いただいた方は、実は、数年前の本校の放送技術科の卒業生でしてね、つまり、その数年前は、授業を受ける側、話を聞く側の立場だったわけです。
どのような仕事に就いているかに関わらず、卒業生の活躍の話を聞くと嬉しいものですけれど、かつての学生が教える立場になっている姿を観ると、また違った嬉しさというか頼もしさを感じるのです。
聞いている学生の表情は、時に真剣で時に笑顔。
ゴルフコースや競技用プールに、画面上合成して描かれている線・文字や本物と見分けがつかないCG(コンピュータグラフィックス)との合成技術。そして、Twitterでの投稿を生放送の画面内に収める技術など・・・。
滅多に聞けない、貴重な話の数々でした。
月に2回程度の頻度でお伝えしている「ドラマ制作2012」。
ただ、ここでの紹介がその頻度なのであって、実際には、週に1〜2回は、放送芸術科の学生を中心に集まって会合し打合せをしているわけです。
そのうち、月一度は、参加する学科・学生が集合しての全体会議も。
今回は、まずは、プロデューサーや脚本を担当する学生より、今度の制作スケジュールや、固まりつつあるプロット・シナリオの説明などなど。
定常授業が終わり、いわゆる夏休みの期間が近づいてきていますけれど、その期間になると、本格的に高密に進み始めるのが、このドラマ制作の制作準備。
ロケーションやスタジオでの収録も大事ですけれど、それを達成するのは、とにもかくにも、綿密な事前準備ですからね。
上の左の写真は、担当する本学園倉谷顧問を脚本・演出を担当する学生。
プロット(あらすじ)の吟味に次ぐ吟味、次いで吟味・・・。
そして、右の写真は、この実習の音声・音響全般を担当する、放送音響科の学生と担当職員。
参加するメンバー全員で、チーフを誰にするか、各役割をどうするかなどの相談中の様子です。
映像技術系のスタッフと言えば、たとえば「カメラマン」「編集マン」。この両者の存在は、知らない人はいないでしょうね。けれどもしかし、映像技術系と限っても、その役割は多技に渡りましてね、これがテレビ番組の製作に関わる全スタッフ、そしてその役割というか職域は、とても沢山!
普段何気なく観ている作品も、それらの数多くのスタッフの活躍によって、製作されているのです。
「普段、特に意識することなく観ている」仕事の成果の1つ、これが、今回紹介する「CG(テロップ)製作」のスタッフ、そしてそれを担当する学生です。
生放送でも収録番組でも、画面上に沢山の文字情報が登場しますよね。特に最近では、出演者の発言をテキスト化したものを、とても多く目にしますし、出演者の名前や番組の最後に流れる事が多い「スタッフロール」などなど・・・。番組よっては、画面のどこかに常に、文字情報が掲げられているわけです。
写真は、本校5学科と東放学園音響専門学校の音響技術科が携わる大型実習授業「番組制作演習」で使用されるCG・テロップを作成している、放送技術科の学生2人です。
さて、前回お伝えした練習。具体的にどのようなカメラワークのための、どのようなテクニックの練習なのか。
これは、細々とテキストを並べ立てるよりも、動画をご覧いただいたほうが解りやすい筈ですので、その練習の様子を無人定点的に撮影した映像を、紹介させていただきましょう。
音楽番組を観ていると、被写体(歌手)に対して、左右方向に動きながら撮影している映像を目にしますよね。
あのカメラワークを「トラックショット」と呼ぶのですが、あの華麗なカメラワークを達成するための動作が、今回の練習。
もっぱら、横方向に力を与え動かすのに、体はカメラに対して正面にいなければならない、というところに、このテクニックの難しさがあります。
コツは、手先の力や腕力ではなくて、体でしっかりと力を与えること。
なぜならば、手や腕は、レンズの操作をしたりバランスの良いアングルを維持したりすることに、その力が使われなければならないからです。
「撮影すること」の前に、まずは「動かせること」。
これは、テレビスタジオにある大型のテレビカメラ「スタンダードカメラ(スタジオカメラ)」を扱うために、必須のテクニック。
なぜならば、写真に見えているこのカメラ、重さはおよそ260キログラム!
もちろん、タイヤが付いているので、このまま一式を持ち上げることはないですけれど、それ相応の重量物ですからね、簡単には動かせないからです。
素敵な撮影構図、華麗なカメラワークを達成するために、素早く、あるいは適格に動かす能力が欠かせません。
その操作法を、徹底的に勉強したり練習したりする授業が、放送技術科の「カメラワーク実習」。
一口に「動かし方」と言っても千差万別でして、その時の状況や目的によって、幾通りもあるものなのです。
そして、大事なポイントは、動かす腕力・筋力ではなくて、「力の与え方」。ですから、手先・腕先の力ではなくて、「体で動かす」ということです。
写真のそれぞれは、レンズを上下左右に振動させないように、カメラを横方向に動かす練習中の様子です。
報道用のカメラがズラリと並んで、照明も当てられて、まるで何かの発表会・記者会見の様に見えなくもない、ですかね(笑)。
それぞれのカメラ・機材一式は、およそ800万円。
今や、iPhoneやスマートフォン・デジカメなどでも、高画質な動画の撮影が可能ですけれど、プロフェッショナルな機器は、その使いやすさや品質・耐久性など理由によって、ある程度大きく重たく、しっかりとしたデザインなんですよね。
加えて、撮影や収録に関わる様々な設定も、iPhoneやデジカメなどは、いわゆる「自動」の状態で撮影するのに対し、プロの機器は、それらのほとんどを、手動で細かく設定していきます。
・・・でですね、この実習授業の写真、いったい何をしているのか、というと、「ホワイトバランス」の設定・動作の練習中の様子なのです。
この専門用語も、上記のようなツールが広く普及している現在では、すっかり一般的な固有名詞になって、「見たことある」という方も多いでしょうね。
白色系の光や物を撮像した時に、我々の肉眼での見え方と同じ色(近い色)となるように、カメラの色の調整をすること・・・ごく簡単に言うと、こういうことです。
ちょっとレアな事を書くと、「放送事業」に関わる電波法では、スタジオとは「演奏室」と定義。
どうもピンと来ませんけれど、「演じて・奏でる」というふうにすると、深く納得な感じですよね。
先日来、お伝えしている写真をご覧いただくと、まさに「演・奏」。
演じて奏でるために、様々なスタッフが活躍している、というわけです。
今回の写真のポイントとなる1枚は、二段目の左。同様に「演奏装置」と定義されている、サブコントロールルームの様子です。
手前から、TD(テクニカルディレクター)・ディレクター・タイムキーパという順。
演じ奏でる場、それに関わるスタッフを指揮し、その内容を魅力あるものにするのが、ディレクター。
放送芸術科の学生が担当しています。
さて、前回に続き、「番組制作演習」のカメラリハーサルから本番にかけての様子を、ご覧いただきましょう。
どの写真も、学生の活躍という点では、言わずもがな共通しているわけですけれど、8枚の中の、ポイントになる写真は、最下段の左。
これは、本番前に、美術セットの1つである床材の「サンプレート」の掃除というか洗浄をしている様子でしてね、テレビ美術科の学生やアシスタントの職員が、洗剤や研磨剤を使って、綺麗にしている作業。
それぞれの小さな傷や汚れが、撮影画面上に目立つ存在にはならないですが、「チリツモ」的に、全体的に汚く見えますしね、出演者が載るステージですから、そこは綺麗にする、というわけです。
とても大切な事、ですよね。