「自動演奏ピアノ」ってあるじゃないですか。
ピアノ自身が、自分で鍵盤を叩いて、音を奏でる・・・あの不思議なピアノ。
子供心に、物珍しさに、ホテルの一角に置かれたそれを、ずっと眺めて
あって当たり前の手や指が取り除かれて、鍵盤の降り具合などが、よーく見えて・・・
なんて思っていた私って、ヘンですか?(笑)
やがて、アナログレコード盤に、自動に針を降ろすレコードプレーヤーが登場して
そのメカニズムを想像しながら、ずっとその様子を眺めていて・・・。
ということで、一見関係ない話を書きつつも、「音」ということで
強引に話をまとめようと、画策していたわけですけれど(笑)。
マウスやキーボード操作で、フェーダーレバーなどが
自動的に動く「AVID Pro Tools システム 003 Factory」。
フェーダーレバーの、ヌルっとモッサリとした動きは
操作している学生の、作品への思い入れの象徴、と言えるでしょうね。
実習授業 放送音響科2年生「音声構成」です。
画面を見ながら操作しているのは、左下の通常のキーボードの他に
「AVID Pro Tools システム 003 Factory」という
iMacというか、Pro Toolsソフトウエアと完全に連動する、一種のオーディオミキサーのようなもの。
これに、マウスを含めた3つのツールで、音を作り上げていきます。
作業が一段落すると、近くの友達に、それまでの一連の「音」を聴いてもらう、これが、右下の写真。
作業に打ち込む本人の聴感は、主観的。これはむしろ必然ですけれど
自分以外の大勢に聞いてもらう音を作っている以上、「他人の耳」による客観的な聴感も、大事な要素。
完成度を上げるために、他の人の意見を聞きながらの作業は、欠かせないのでして
自分の思い入れと、他の意見とのギャップを認識し、必要に応じて改善する。
次には、それを想像しながら、完成度を高めていく、ということ。
こうして、一層の勉強に繋がっていくわけです。
そして、下の写真が、「AVID Pro Tools システム 003 Factory」。
数十台のiMacとセットで、同じように数十台が設備されている、「Mac room」。
授業において、1人で1式を使いこなす、という環境が、整っています。
とにかく「静かに黙々と」の実習授業「音声構成」。
iMacにインストールされている「AVID Pro Tools」を使用して
「アニメの音」を作り上げていく作業です。
オペレートの方法は、既に1年次にしっかりとマスターしていて
それぞれの学生、しっかりと自立している感じ。要するに、「作り込み」に集中、というわけです。
ヘッドフォンをして、iMacの画面を真剣に見つめている学生。
画面には何が写っているのかというと、右下の写真。
3色に分かれた長方形の中、濃い色で表示されたギザギザが、「リージョン」と呼ばれている、音の波形。
横軸を時間として、音量を関数(グラフ)的に表現しています。
つまり、目に見えない音を、視覚的に現しているものでして
これを確認しながら、編集ポイントを決めたりボリュームを決めたりバランスをとったり・・・。
比較的ですね、テレビスタジオで写した写真が多めの当ブログでは
少々珍しい光景というか、スポットというか、実習室にはなってしますのですが
今回の写真は、すべて、「東放学園専門学校 Mac room」。
大きな画面を持つiMacなどが、数十台並んでいる実習室です。
それでですね、「iMac」とお伝えしましたが、単なるMacではなくて
音楽編集ソフトウエア・システムである「AVID Pro Tools」のワークステーション。
そして、授業は、放送音響科2年生の「音声構成」です。
学生が、一心不乱に打ち込んでいる今回の課題は、アニメ音声の製作。
実際に放映された本物のアニメの映像素材に、台詞(声)とのバランスを取りながら
効果音を入れたり、BGMを挿入したり・・・という作業。
さすが2年生ともなると、オペレートをしっかりとマスターしていますし
ヘッドフォンを使いながらの作業なので、とにかく「静かに黙々と」という印象なのです。
機材の、一通りの配置が終わると、次の作業は結線作業へと突入。
「結線作業」とは一体何か?というと
史上最大的(笑)に簡単に表現すると、要するに、テレビの裏側の配線の様なものでして
映像システムとしては、かなり小規模だとは言えますけれど
それでも、合計70本程度のケーブルを使用して、各機材間を結んでいくわけです。
もちろん授業ですから、学生だけで、システムを構築。
写真をご覧いただくと、何らかの紙を見ながら作業を進めているようには観えますが
それは、1年次に勉強した、更に小規模な別のシステムの系統図(配線図)。
これを参考にして、まずは自分達だけで、出来るところまでやってみよう!が、今回の実習のテーマ。
話し合いながら、それぞれの知恵を出し合って、協力しての作業。
言わずもがな、どの写真も、撮影用のポーズではなく
ごく自然な光景を、そのまま撮影したものです。
一連の作業が完成した後は、学生各々が自分自身で、系統図を完成させる作業へ。
「番組制作演習」中継先の、映像システム構築作業。放送技術科2年生です。
ここ20年間くらいの放送現場の、特に映像技術的な観点から感じられる事の1つは
画質の向上と反比例の、機材やシステムの、小型化シンプル化省力化。
技術は日進月歩ですからね、まあ、当然と言えば当然ですけれど
放送(信号)規格や機材システムのプロセスが、デジタル化された事で
技術の進歩に重畳されるように、一層の小型化や合理化が進んでいる感じ。
当然、重量に関しても、かなり軽量化されてきたわけです。
けれどもしかし、要所では、重たい機材を相手にしなければならない
これも半永久的に続くであろう事も、また事実なのです。
久しぶりに前置きが長くなりましたけれど(苦笑)
上の2枚の写真。機材を運んでいる、放送技術科の学生の様子。
来週より本番が始まる「番組制作演習」を前に
予習的に、中継映像製作システムを構築するために
エレベーターや台車を使わず、機材を自力で運んでいるのです。
重さに慣れる・・・体力作りも、必要な即戦力の1つですね!
まずは完成形を観る!
2013年5月6日 ドラマ制作
つい先月の始めに、「ドラマ制作 2012」作品完成後の、最後の紹介をしたかと記憶していますが
今回からは、新シーズンとなった「ドラマ制作 2013」。
今年度も、いよいよ本格的に始動しました!
授業のガイダンスで
授業実習のテーマや各スタッフの役割・大まかななスケジュールの説明を受けた後
1回目の授業では、昨年度の作品の上映会。
言わずもがな、昨年度と同じ作品を制作するわけではないですけれど
関わった学生各々の意気込みや努力の結晶によって作られた
ハイクオリティな仕上がりである「完成形」を観る、ということは、とても大切ですよね。
これを鑑賞して、目標が明確化されて
俄然、モチベーションが強くなったり、あるいは不安に感じたりする・・・
自分自身の使命だと意識して、それらの想いを手向けるきっかけとなり得るからです。
本館校舎の大規模リニューアル工事と共に
新しく綺麗になったのは、校舎前のアプローチ。
従来の植栽は撤去されて、新たに植えられたのは「カザニア」という花。
植えたのは、学校ではないのですけれど
学校カラーのブルーとイエローに合わせるように、鮮やかな黄色なのです(笑)。
この花、晴天時の日中に、花を大きく広げ、夜になるとツボミの状態。
非常に光に敏感な花なのです。
今年も既に5月。近頃は、大型連休中。
冬休み以来の、誰もいない静かな学校を、花々が見守ってくれている・・・筈(笑)。
しかし、速いですね〜。あっという間に、2013年のおよそ1/3が過ぎたわけです。
そして5日は「立夏」。暦の上では、夏が始まります。
シリーズ2012年度「番組制作演習」最後は
カメラリハーサル前の動画と共に、カメラマンの様子を。
動画をご覧いただくとお解りになると思うのですが
静かに、カメラマン同士や、カメラアシスタントなどと打合せをする一方で
大きな声を出して、スタンバイを進めているのが、照明を担当する、照明クリエイティブ科の学生。
出演者の微妙な立ち位置や動きの決定によって、若干の修正が必要になるからですね。
4枚の写真は、それぞれグループ違い番組違いのカメラマン。
放送技術科の学生が担当します。
出演者が多数の場合は、各方向(アングル)に2台ずつのカメラを配置。
3方向から2台ずつの、合計6台のカメラを使用して、撮影していきます。
右上の写真、ハンディカメラは、左手でレンズのズームとフォーカスの操作を。
左下の写真、スタジオカメラは、左手でズームのスイッチ操作を
右手でフォーカスのダイヤル操作を行います。
ということで、シリーズでお伝えしてきましたが
今年度2013年度の「番組制作演習」の番組制作は、この連休明けに本格化。
グループに分かれての、合計20番組製作! 一緒に頑張りましょう!
上の写真が、当初のデザイン図。
ディレクターからのオーダーや、番組の構成・演出に即した形で、第一考として作られたものです。
そして、下の写真が、それを元に実際に建てられた美術セット。
単純に比較すると、実際の方が、ややシンプルな印象を受けなくもないですけれど
テイストはそのままに、作業にかかる時間やコスト、建て込みのスムーズさなどを勘案して
吟味され、多少、変更されている部分があるという結果。
ですから、「簡略化」というよりは「洗練化」というのが正しいでしょう。
机上の構想を具現化して実現させるために、欠かせない吟味です。
と言うことで、2012年度「番組制作演習」の様子。
下の9面マルチ写真。例によって、クリックすると、かなり拡大表示されるので
ぜひ!そのようにしてご覧いただきたいわけですけれど
この美術セットの製作と建て込みなどに関わっている、テレビ美術科の学生
3ヶ月弱の間に、20番組の20美術セットをデザインして、製作して建て込み。
しかも、テレビ美術科2年生の全員が関わるわけでなないですからね
言うまでもなく、というか、簡単に表現できないほど
高密度の作業進行によって達成される、作品の数々なのです。
自然にしたり、強調したり
2013年4月29日 実習風景,照明クリエイティブ科
前回の「音声」では、大切なテーマの1つとして「自然に聴かせる音」とお伝えしましたけれど
今回は「照明」。こちらは「自然に見せる明かり」が、大切なテーマの1つ。
もちろん、「光」が演出というか、デザインとして生かされる場合もあって
すべてがそうであるわけではないですが、トーク・情報などの一般的な番組の場合は
特に意味がない限り、まずはその場で肉眼で観ている見え方と同じようにテレビに写す、ということ。
上の2枚の写真は、自然に見せるための照明。
左は、美術セット全体を、均一に明るくするための灯体を操作している様子。
美術セットが建った後は、灯体が吊らされている照明バトンが降ろせないですからね
下から、長い棒「介錯棒(操作棒)」を使って、向きの微調整をします。
一方、出演者に最も近い位置から照らす灯体が、いわゆる「キャスターライト」。
原稿等を置くテーブルに置いて、下から顔などを照らす目的。
それに対して、演出的照明が、下の2枚の写真。
左は、青白い色を放つ灯体の向きを変えている様子で、どのように照らすのかが右の写真。
番組の最後に、クイズの優勝者を照らすためのもので、言わば、優勝者限定ライトですからね
強調するために当てる範囲を狭くして、四角形にしているのです。
シリーズでお伝えしている、2012年度「番組制作演習」。
なぜ?昨年の?・・・とお思いの方、多いだろうと推測しますけれど、理由は・・・
昨年一部しか紹介できなかったから(しみじみ)。
大変単純な理由で、誠に恐縮でございます。
さて今回は、放送音響科の学生の活躍、音声について。
番組制作には、実に沢山の技術・スタッフが関わって作業を進めているわけですが
その中でも「音声」は、一番身近というか想像に容易いとは思います。
けれどもしかし、大方の予想に反して、実際の作業は、非常にデリケートで緻密でして
テレビの向こう側の視聴者に対して、あらゆる音を自然に聴いていただく、奥の深さがあるのです。
それらの音を収めるためのマイクロフォンは、何種類かあってですね
まずは、右上の写真で「ピンマイク」。
手にマイクロフォンを持つことなく、視聴者にその存在を目立たせることなく、収音します。
次に、下の写真。右から左に向かって、長い棒のような物を操作しているのが
「マイクロフォンブームドリー」。その先に付いている物が「ガンマイク」。
比較的遠距離であっても、棒状のマイクの、その先にある音を収めやすい性能を持ちます。
また、写真左の出演者に対して、下から向けられている細長い棒も、同じガンマイク。
これらもやはり、マイクロフォンを手に持たずとも、音を収めるための物。
口に近くない、持たせない、あまり目立たせない、けれどもしかし、音はしっかりと収める。
この重要命題を達成する事、そしてその巧みなテクニック。
すなわちこれが、「奥深さ」となるのです。
「お伝えして、お願いする」ということ。
もちろん、いわゆる制作の役割として、それは他にも数えきれないほどあるわけですけれど
これが、その種の役割の根底にある、非常に大切な仕事の1つかと思うのです。
だからこそ、ディレクターになる前の、アシスタントディレクター・フロアーディレクターでは
その業務を、数多く負う。
ディレクターになって、企画を考えたり構成・内容や意図などを考えて
それを出演者に伝えて、演出する。
これらに、繋がっていくわけです。
ということで、2012年度「番組制作演習」。
アシスタントディレクターやディレクターを担当する学生の
「人に伝える」と言う光景の数々を、ご紹介いたします。
どの写真も、大切であり自分の仕事であると、しっかりと自分自身に取り込んで
真剣に伝えようとする姿です。
(写真をクリックすると、拡大表示されます)
さて、次の動画をご覧いただく前に、まずは静止画で数多くの紹介でしてね
何しろ、当該の課題制作だけで12番組・12グループが取り組んでいたわけです。
すべてをご覧いただくのは難しいですか、その中でも沢山を紹介です。
今回の写真は、「位置決め」。
出演者や各技術スタッフが確認する中
ディレクターを担当する学生が、要領よく進行していきます。
上の写真、中央やや左に立って、台本を持っているのがディレクター。
左上の写真は、出演者の代行(代役)を担当している、アシスタントディレクター。
細かい立ち位置などは、わざわざ出演者の方にお願いする必要ありませんからね。
そして、それらに細かい指示を出しているのが、ディレクター。右上の写真。
出演者の進行上の動きを容易にするため
また、カメラワークやライティング上などでは、欠かせないのでして
これを失敗すると、スムーズな制作が難しくなってしまうのです。
「位置決め」というと、その事自体は難しく感じないですけれど
もの凄く奥が深い、大変重要な作業の1つです。
位置決めなどが終わると、少々の各所・各役割の手直しがあって
カメラリハーサル開始となります。