‘実習風景’ カテゴリーのアーカイブ
さて、機材同士を結ぶ付線作業が終わった後は、それらのすべての配線の確認作業。
配られた資料と照らし合わせながら、それぞれが、どの機器とどの機器を結んでいるものなのかを、1本ずつ調べていきます。
すべてのケーブルが、1つの機器から分岐しているわけではなくて、まずは1つの機器に結ばれ、その機器から、また別の機器に結ばれているものが多いですし、配線される信号の種類が様々ならば、ケーブルの種類も様々。
言わずもがな、無用な機器はなくて、すべて番組制作に必要な機器ですし、それらを結んでいるケーブルも無駄は物は1本もなし。
ということは、1本でも配線を間違えると、NG。当たりまえですけれどね、かなりシビアな作業なのです。
実際の現場では、映像システムなどを設計したり配線をしたりして、映像技術の分野における番組製作の環境造りを担当するのは、主にVE(ビデオエンジニア)のスタッフ。もちろん、放送技術科の学生のすべてが、VE志望というわけではありませんが、カメラマンでも編集マンでも、関わる知識ですからね、全員がしっかりと勉強する必要があるわけです。
東放学園専門学校、1年次は各学科がそれぞれの専門分野に関しての基礎を学ぶ授業が中心。一人のスタッフとして、また、その役割についての必要な知識を、学科単位で実践し経験していく、というものです。
それに対して、2年次になると、各学科が一眼となって、1つの作品を大勢で協力して作り上げていく、という授業が中心に。この「協力し合う」という環境の下で、他の役割についても体系的に学んでいくわけです。
そこで、今回ご紹介するのは、2年次の大型実習授業「番組制作演習」の放送技術科。今後の本格的な番組制作を前に、1年次の復習的実習を。
まずは、機材室より必要な機材を運び入れて、指定の通りに機材を並べていくという作業。映像制作システムの構築です。
通常、テレビスタジオとペアになって設備されている「サブコントロールルーム」を仮設する、という作業。当然規模は小さいものですが、同じ様な環境を学生だけで作り上げるという、高度な技術です。
一通りの機材が用意された後(2枚目の写真)は、各機材同士の結線作業。数十本にもなる結線を学生自身で行うのですが、可能な限り短時間で作業を完了するために、それぞれが協力しながら、着々と。
分担したり教え合ったり、体や手が交錯しながら、急ピッチで進めていきます。
「Pro Tools実習」のこの教室は「Mac Room」という実習室でしてね、30式のiMacがズラリと並んでいる所。
PCとしては、Windowsがメジャーですけれども、オーディオ・ビジュアル系の作業には、やはりMacは欠かせない道具なのですよね。
この教室以外にも、職員室やサブコントロールにもあり、そしてMacBook Proも入れると、かなりMacライフな学校です。
前回よりお伝えしている通り、スクリーンとiMacを繫いでの授業ですが、実は普通のスクリーンではなくて、「SMART Board」という製品。言わば電子黒板的な装置でしてね、iPhoneやiPadと同じように、マルチタッチスクリーンの1つ。2枚目の写真のように、スクリーンに指で触れて操作ができるのです。
そして、3枚目の写真のように、専用のマーカーで文字も書けてしまうという、非常に便利な機能もあり。
うーん、こういう便利なツールを駆使した授業、受けてみたいです(笑)。
ところで、この「Pro Tools」ですが、音楽・音響の世界ではとてもメジャーなソフトウエア・ワークステーションでして、それらの仕事に関わる人で、Pro Toolsを知らない人はいない、と言っても過言ではないよですよね。ですから、放送音響科の学生は、入学してすぐに本格的に勉強を始めます。
最近の液晶ディスプレイは、本当に綺麗ですよね。少しでも斜めから見るとすぐに色が変わってしまう、という状態。今は、1枚目の写真のように、かなり斜めから見ても、ほとんど、色も明るさも変化なし。技術の進歩ですよね〜。
さて、前置きはこれくらいにして、今回は、放送音響科の実習授業がテーマ。
最新型のiMac27インチがズラリと並び、そしてその前にはキーボードとは大きく違う物体が置かれていて・・・。
そして、2枚目の写真、先生がスクリーンを使って説明をして、それを学生達が聞いている様子。
実習授業「Pro Tools 実習」でございます。
Pro Toolsとは、極めて簡単に言えば、音楽編集ソフト。音素材をPCのハードディスクドライブに録音するように取り込み、たとえば楽曲の長さを変えたり、音質や音量を変えたり、さまざまな素材を1つにまとめたり・・・というもの。もちろん、これでは説明としてはかなり不足していますが、とにかくとても多機能なので、まあ、この程度でお許しいただければと存じます(苦笑)。
3枚目の写真が、Pro Toolsの作業画面。中央付近に見えるギザギザが、音や楽曲を表現している波形で「リージョン」と呼ぶもの。
目に見えない音を、このように映像的に視覚的に見たり扱ったりしながら、さまざまな作業を進めていくわけです。
たとえば楽曲の長さを変えることは、およそ20年前には、音を記録したテープをハサミで切ってテープで繫いで、というふうに実現させていたのですがね〜。技術の進歩は凄まじいと、しみじみと感じますよね。
テレビ美術科1年生による実習授業「大道具操作基礎」も、いよいよ大詰め。最終課題の製作も完成に近づいてきました。
左の写真は、ちょうど「欄間(らんま)」が取り付けられようとしているところ。
「欄間」は、最近の家屋だとあまり見られなくなりましたが、従来の日本建築では非常にメジャーでしてね、天井のすぐ下に設けられた明かり取りや通風を目的で設けられていたものです。
左の写真、図面のような物が見えていますけれど、これは「道具帳」といって、造作する物のそれぞれの形や寸法、表面の仕上げ等が書かれているもの。美術セットの造作や組み立てのために、必要な情報のみが盛り込まれた一種の設計図なんですよね。
時には見守り、時には一緒に作業にあたる担当講師の先生と共に、細かい部分の釘打ち。右の写真です。
さらに作業は進み、先生を含めた4人で、一致協力しての作業。後ろ姿ですしね、その体に隠れて詳しい様子は伺い知れないですけれど、右の写真をご覧いただくと、もうお解りになるでしょうね。
そう、銭湯の洗い場の部分「カラン(本来は蛇口の意)」の部分。ちなみに、上に乗っている「桶」も「蛇口」も手造りです。
はい、ということで、実は銭湯の浴室を造っていたのでした。
最後は、関わった学生で、記念の集合写真。
「東放の湯」の完成です。
パネルが建てられ、しっかりと連結された後は、そのパネル同士のつなぎ目の線を目立たなくする作業。
その線を覆うように「目張り」を貼っていきます。
この目張り、パネルに塗装を入れた時に、マスキングテープに同じ色の塗料を塗って
あらかじめ作っておくのです。
パネル一面が均一の単色だと、単純にストレートに貼って終わりになりますけれど、上のパネルのように部分的に色が変わると、その色や描かれている絵に合わせて、細かく貼込む必要があるのですね。
上の写真のように、カッターを使って一色ずつ丁寧に作業を進めます。
その一方、建てられたパネルの周囲には、様々な部材や道具の準備が進んでましてね、作業を分担して効率良く、可能な限り短時間で済ませます。
さて、いったい何を造っているのか。次第に明らかになってきましたね。
まあ、あの、本校は言わば「もの造り」の学校でしてね、協力したり手分けをしたりして
1つのものを完成させる。
学科によって、それぞれの役割によって、手段や使う道具は違いますけれど
学生全員がこれに向かって、勉強し練習しているわけです。
今回紹介するのは、テレビ美術科の実習授業「大道具操作基礎」です。
紹介するのが随分と遅くなりましたが、実際には、今年の1月の授業内容でしてね、1年次に学んだ沢山の事のまとめ的な課題。学生自身が造る美術セットを決めて、デザインして設計して造作して、実際にスタジオに建て込みをして・・・という流れ。
今回はその最後にあたる、建て込みの様子です。
専用の作業工房からスタジオに運搬するために、小分けになっているのですが、これらをまずは組み立てていく、という作業。
時には、担当の先生が一緒になって、教えながら組み立てます。
経験した事がある方にはお解りになると思うのですが、なぐり(金づち)で釘を打つ際に大事なのは、部材をしっかりと固定することですよね。
打ったり固定したりと、それぞれが協力し合いながらの作業です。
そして右の写真、今回の課題美術セットの正面のパネルが組み上がったところ。
さて、いったい何を作っているのでしょうかね〜?
一通りの打合せやスタンバイを終えて、いよいよ、本番開始。
卒業生による「音楽番組制作」です。
卒業生と言っても、そう何年も前の卒業ではないのですけれどね、カメラマン姿は、ひと味もふた味も違う。もちろん、実際に、ある巨大な放送局の番組カメラマンを担当している人もいますからね。洗練された格好の良い姿です。
右の写真は、女性グループが出演者。実は、出演者も、その、卒業生なのでございます。
出演場所というか、収録場所はテレビスタジオだけではなくて、校舎前の屋外から始まって、左の写真のように、ロビーでも。楽しそうで何よりですね。
実際のオンエア番組でも、昔ほど、このようなテイストの、つまりスタジオを飛び出して・・・という構成が多かったと観察されますけれど、今の若い世代の人たちも、それを知っているのですかね?
かつての有名な音楽番組では、駅のホームから歌手が歌を始め、やがて、出発のベルと共に、マイクを持って電車内に入り・・・なんてこともありましたけれども(笑)。
当然、スタジオに隣接した「サブコントロールルーム」でも、歌。
ここには、わざわざ、照明もセッティングされていて、ご覧の様子。さすが、プロが考える事。本格的ですよね。ハンディカメラ2式で撮影です。
写っているのは、卒業生とその他に、在学生も何名か。言わば、在学生とのコラボレート的なイベントだったです。先輩達の作業やその進め方を見て、勉強になったことでしょう。
終わった後は、ロビーの大型テレビモニターで、プレビュー会。
もちろん、すべては、卒業生本人達の自発的実習。プレビューする事の大切さも、しっかりと解っているのですね。
けれどもしかし、楽しそう(笑)。羨ましいです。
上の左の写真。もういかにも「打合せ」だということがお解りいただけると思います。
右の写真を見ても、何の資料かは、ちょっぴり解りづらくて恐縮ですけれど、これは、スタジオの照明プランを示しているもの。ということは、照明クリエイティブ科の学生・・・か、というと、違いましてですね、実は、写る全員は、数年前の卒業生の方々。
いったい、何があったのか、というと、3月の終わりに、卒業生による卒業生のための「音楽番組制作」が行われたのです。
場所と時が変わって、こちらの2枚は、放送技術科の卒業生。カメラ(映像)の打合せ中の様子です。
一段目の写真の、照明科卒業生と同期の方々。
以前は、いろいろと教えながら進めていた、このような打合せも、数年後の今となってはもう、極めて自動的に行われるわけです。しかも、とても真剣に。
職員目線の言葉で、とても恐縮ですけれども、成長著しいですよね。頼もしいな!と、強く感じます。
右の手前に写る人達は、そろそろ2年生となる在学生。
在学生とのコラボレート・イベントなのです。
スタジオでは、照明スタッフによる仕込み中。
介錯棒(ライトの操作棒)を持つ手・腕も、非常に安定的。重さに震えることもありません。
比較的大掛かりな仕込みも、クールにスマートに、静かに淡々と。それでも、その表情には、意気揚々とした楽しさも感じられて、感慨もヒトシオです。
いよいよ、本番です!
2012年4月12日 実習風景,照明クリエイティブ科
脚光を浴びせる
2012年4月11日 実習風景,照明クリエイティブ科
上の左の写真。これは、ホール内の客席から。
このアングルは、客席から見上げれば観られますから、そう珍しくはないでしょうね。
その「光の筋の源」の室内を写したものが右。
ちょっと薄暗くて見づらいとは思いますが、明るく見えているのが、客席。窓は、ステージに向かって斜めに配置されています。
こちらの、3月25日に続く、照明クリエイティブ科「舞台照明実習」の様子です。
この光の筋を出しているのが「ピンスポット」と言いまして、それが設置されている部屋なので「ピンスポットルーム」と呼びます。
筋が目的ではなくて、ステージ上の出演者に、より強い「脚光」を当てるためのもの。ひと際明るく、丸く見えるアレです。
出演者は動いたり、演奏する位置が変わったりしますからね、専用のオペレーターがいて、それらの動きをフォロー。
特に右の写真。オペレーターの左手で、ノブのような物を触っていますが、これを操作して、光の広がり方を変えたり、明るさを変えたりしているわけです。
そして上の2枚の写真。
そのオペレーター側からステージを観ると、こんなふう。
このホールのように、ガラス張りになっていることが多いので、見た目ほど、怖くはありません。はい。
さて、リハーサルも終わり。
いよいよ、本番へ突入です。
テレビ美術科による、NHKふれあいホールギャラリーでの「卒業制作展」。
最後にご紹介するのは、今回の展覧会の中で見事!「最優秀賞」に輝いた作品です。
韓国からの留学生による「夢のマイホーム」。
1枚目の写真、向かって左が昔の日本民家、右が韓国の民家なのだそうです。
写真だけでは、細かいディティールが表現できなくて少々残念なのですが、木の柱の質感や屋根瓦の趣き、家の周囲の造り込みなど、その雰囲気は秀逸。
作り手の気持ちを感じる、吟味されたデザインに仕上がっていますよね。
最後は、テレビ美術科の学生と担当講師・職員との集合写真。
もちろん、全員ではなくてですね、この時に訪れていた人達での記念撮影です。
(写真:Sugimoto / fushimi)