‘実習風景’ カテゴリーのアーカイブ
テレビ番組製作のスタッフには、大きく分けて、制作・技術・美術、この3つのセクションがあります。
今日紹介するのは、美術や大道具のスタッフ養成学科である、「演出デザイン科(1年はテレビ美術科)」。
写真は、2年次の各学科による、実習授業「番組制作実習」で、演出デザイン科の学生が、床材である「リノリウム」を敷く練習とシミュレーションをしているところ。
リノリウムは、住宅用などの建材の1つ。住宅だと洗面所やキッチン、病院や学校の床には、素地に接着されていて、恒久的な使用。テレビ番組用の美術セットとしては、いわゆる「Pタイル(プラスチックタイル)」の上に、接着テープなどを使って、仮設敷きをしていきます。
スタジオ全面に敷くとなると、大きく重たいものなので、短時間で効率的に作業が行えるように、このようなシミュレーションを行う、というわけです。
昨日に続いて、番組制作実習のガイダンスの模様。今日は、「放送技術科」編です。
この授業、番組のフォーマットの中に、中継部分もあります。
実際の現場では、中継というと、大抵、専用のテレビ中継車で番組製作をしますが、中継車はいわば「動くサブコントロールルーム」なので、機器の配置やその間の配線はしない。まあ、しなくても良いように設計されているわけです。
しかし、学校の授業となると、それだと勉強できる内容が若干限られてしまう。そのために、この授業では、中継先に必要な映像・音声機器も、学生が配置し配線する、というふうにしています。
この写真は、ちょうど、その勉強中の模様。基本的には学生がやる、ということで、皆さん、熱心に勉強していますね。
さらに続いて、この2枚が、火曜日に行われた、東放学園専門学校「放送音響科」編。
担当のスタッフが変わっても、当然のことながら、ほぼ同じ内容の説明がなされています。
上の、サブコントロールルームでの写真は、マイクを片手に、ミキシングコンソールの詳しい説明をしているところ。
下の写真は、音声を担当する番組スタッフ用の、ワイヤレスインカム(*)の説明中ですね。
既に、音声関係のスタッフだけで4人関わっている、番組制作実習。
さあ、果たして、この実習授業には、合計何人のスタッフが関わっているのでしょうか。
(*)ワイヤレスインカム:無線方式のインターカム。かつてのいわゆるPHSに近い仕組みになっている、デジタルワイヤレスインターカム
およそ、6メートル先のマイクを・・
2010年4月21日 実習風景
この写真も、前回の記事同様、サブコントロールルーム内のヒトコマ。今回は、本番中の音声のスタッフの写真です。
普段の生活において、「自然に聴こえること」とは、人間の耳の「聞き分ける能力」によって達成されている、といっても過言ではありません。限界はありますけれど、周囲がうるさくても、会話が成立するのは、そのため。
しかし、耳の代わりになる「マイク」は、そうはいかない。周囲の「ウルサさ」も、音の「小ささ」も、そのまま、反映してしまいます。
けれど、皆さんは、家でテレビを見ていて、スピーカから出てくる音に、不満を持ったことは、ほとんどないはず。これは、音声のスタッフが、もの凄くデリケートな仕事をしているから、に、他なりません。自然に聴こえるように、音を調整することは、難しい。映像と違って、見えないですしね。
音量を調整するレバーに手を置いての、真剣な表情。この写真は、「やらせ」でも何でもなくて、ごく自然に撮影したもの。真剣な表情が、「必然」なのです。
(ブログ掲載の許可を得ての撮影ですが、写真の転用はしないでください)
続いて、スタジオフロアにある、マルチモニター(4画面マルチ)の写真。
4つに分けられた「小窓」には、それぞれ、カメラマンが撮影している画面が入っています。
これは、「その瞬間で何を撮っているのか」が、とても解りやすく表現できるので、Bスタジオが開設されたおよそ10年前から設置していました。ただ、スタジオの一カ所に、テレビモニターを4式並べての使用。
それが、今回は、システムを完全にデジタル化することで、サブコントロールやスタジオフロアのどこでも、4画面マルチ表示が可能ですし、誰でも簡単に4画面の中身も簡単に入れ替えれようになり、また、HD化し、画面も大型化したことで、かなり高画質で表示できるようになりました。こういうわけで、今回の「フルデジタル化フルHDTV化更新工事」で、大きな恩恵を受けた1つでもあります。
(前後の記事の写真を含め、被写体になっている本人の許可を得て撮影していますが、写真を転用しないようお願いします)
さて、引き続き、27日28日に開催されて「Welcome東放」の写真。
かなり暗い部屋のように感じると思いますが、実際はもう少し明るいです。テレビモニターの明るさに合わせて撮影したので、相対的に暗く写ります。「人の眼」は、暗い所でも明るい所でも、比較的それなりに、しっかりと見えますが、デジカメだと、そうはいきません。暗いものはかなり暗く、明るいものはかなり明るくなるのですね。
この特性は、テレビカメラでも一緒。そのために、照明のスタッフが丁寧に照明を作り、VE(ビデオエンジニア)のスタッフが、丁寧に映像を調整します。故に、たとえば、テレビドラマの夜のシーンでも、夜らしく、それなりにしっかりと出演者が見られる、と、こういうわけです。
写真のモニターウォール、テレビモニターそれぞれがサイズアップし、各々との隙間も減りました。こうして見ると、かなり迫力ありますね。
テレビモニターのすべてが液晶ディスプレイ。一部を除くほとんどが、アストロデザイン社の製品。
この写真も、「Welcome東放」中のもの。カメラ3台、カメラマン3人を横から。もちろん、全員学生スタッフです。
右手で触っているのは、レンズのフォーカスダイヤル(フォーカスデマンド)。ダイヤル自体は、カメラ本体カメラマン側についていますが、レンズと有機的に繋がっていて、電動式で遠隔操作しているわけです。
このフォーカスダイヤルの位置も、特別注文で改造設置してもらったもの。通常は、フリクションヘッドから専用の棒を出して、取り付けることが多いのですが、学生が触る・操作することで、無用な凹凸やケーブルを減らし、怪我を防止したり機器破損を避けたりするための対策。
ちなみに、このような「カメラヘッド埋め込みタイプ」は、放送局導入のカメラに、多い仕様です。