1月末に開催された小説創作科の特別講座は、KADOKAWAエンターブレイン ブランドカンパニーからファミ通文庫編集部 編集長代理の川﨑拓也氏をお招きして行われました。
創設から16周年を経過し、ライトノベル業界の黎明期から現在までを支えてきた歴史あるレーベル『ファミ通文庫』。
いまでは多くのレーベルが存在し群雄割拠と呼ばれるこの業界で、定形とは違う個性をもった作品を採用するなど、独自の主張を続けながら1500冊以上の作品を刊行しています。
川﨑氏曰く、今ライトノベル業界では、編集者やベテラン作家も読者に受け入れられるアイデアを出すのに悩んでおり、だからこそ時代を反映した新しい切り口を持つ若者に大きな期待しているとのこと。
『ファミ通文庫』のご紹介後、受講した学生一人ひとりに、好きな作品や作家を尋ねながら話しを展開する形で講義は進行しました。
学生が他レーベルの作品や、ライトノベルではない作品を挙げても、それぞれに対するエピソードがすぐに出てくるのはさすが業界の一線でお仕事をされている編集者。
良いタイトルの付け方や、改稿についてなど、編集者目線での実例を踏まえた話しに学生も真剣な表情で耳を傾けていました。
ここで特別講座に参加した学生から、講座の内容について寄稿文をいただいたので掲載いたします。
小説・マンガ創作科2年 寄稿
「”他では出せないかな”と思うものを出していきたい」最初にそう言った時、自分はそういうことだったのかと思いました。ファミ通文庫はレーベルとしてジャンルを確立せず、様々のジャンルを出していたことに疑問を持っていました。しかし、他の文庫と違い少ない作品を文庫の顔として押していくのではなく、数多くの作品を押しているのはファミ通文庫だけなのかもしれないとも思います。
「読んでもらえれば面白いが、読む前から面白いと伝わらないとどうしようもない」、「楽しみと思わせたら勝ち」これを聞いたとき、編集者の視点でありながら、読者側のことも理解して見ているんだなと驚きました。
自分は他の人の作品を見る機会が多くありましたが、どうしても片方の視点に片寄りがちになってしまいます。特に読者でいる期間が長かっただけに、そういう視点になりがちでした。ですから、バランスよく両方の視点で見られるのは凄いことなんだと思いました。
「ライトノベルの中だけで戦っていても仕方ない。スマホアプリ、テレビゲームなどエンターテイナーの中で戦う意志が必要」この言葉は特に印象に残っています。正直、今までの考えを覆させられた気分でした。周りの話を聞いているとよくライトノベルの話をしていて「この作品は面白い」、「この文章が上手い」など耳にしますが、そこだけで留まっていては作品として戦っていくことが出来ないんだと、そう思いました。
ですが、確かにライトノベルが衰退していってる現状ではそういう他のエンターテイナーと戦っていかなくてはいけないのは事実なんだと思います。この考えを知ることが出来たのは今回の講座の中でも大きかったものだと思います。
前半の途中から後半にかけて、講座を受けていた生徒の好きな本を聞いていくという内容でしたが、20人余りから出てきた作品全てに反応し、あれこれとトークしていたのを見て「どんだけ本を読んだらそういう風になれるのか」と驚いていました。自分は誰も知らないような作品を出したつもりでしたが、あっさり返されていまった時は遠いなと感じでしまいましたが、あの場ではむしろ当然のことなのかもしれないとも思いました。
今回の特別講座は自分にとって大きなものを得ることが出来たのではないかと思います。
『第17回 えんため大賞』はファミ通文庫部門を始めとして、全8部門を募集。
ライトノベル「ファミ通文庫」部門は4月30日が〆切となっています。(詳細はコチラ)
受講者には、惜しみなく教えていただいた生の情報を活かしてぜひチャンスを掴んでほしいですね。
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