第二回、江戸東京博物館の大浮世絵展の記事です。
前回の記事で紹介した二点の作品は、風景が複数の人物が描かれた作品でした。
今回は一人の人物を色濃く描いた作品となります。
葛飾応為作、「夜桜美人図」は人目を引く美しい掛け軸でした。
肉筆画のこの作品は、夜闇の中で灯篭の灯りに照らし出された女性が描かれています。
光と闇の表現が巧みな作品です。
その絵を見つけた時、一瞬だけ周りの音が消えた。こ
の感覚は、好きな作家の本を読んでいる時の感覚に似ていると、その絵に近付きながら思った。
周りの雑音や、景色が遮断されて、目の前の作品のことしか考えられなくところがとてもよく似ている。
実際、今が冬であることや、絵と私の間には次元の壁があることを忘れそうになった。
その、背景に溶け込めるような気がした、と言うと、やや厨二病的だろうか。
今まで、学校や、部活あるいは個人的に美術展に足を運んできたが、その度に素晴らしい作品を見つけた時に私は考える。
その作品達は(いい作品)とは、次元を超えて、こちら側にイメージを叩きつけてくる作品のことなのではないか、と。
その風景の季節や、質感を簡単にイメージできるのは、
その作品に作者の伝えたいこと(見たままの美しさ)が上手く表現できているからではないか、と。
夜桜を背景に、一首考える女性の横顔の表情、
彷徨うように宙で停められた筆を執る指先それにしゃんと建てられた襟元と対照的に、しなやかに垂れ下がった振袖。
幻想的な中に、どこかリアリティのある不思議な絵。
この作品を見て、私はそう思ったのだが、どうも口下手なせいか上手くまとめられず、『どこが良かったか』を聞かれた時、
咄嗟に頭の悪そうな回答をしてしまったことが悔やまれた。
喜多川歌麿作の「難波屋おきた」も印象に残る作品でした。
この作品は江戸時代後期、寛政三美女の一人である、おきたという女性の全身を描いたもの。
一枚の浮世絵の表と裏にそれぞれ、女性の正面と背面の絵が寸分たがわず描かれた珍しい作品です。
特別展は浮世絵の発展と繁栄を、時代に沿って触れてゆくものでした。
こちらでは紹介しない名画も数多く展示されており、今後も入れ替えがあるようです。
興味がある方はぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
博物館を後にし帰宅……その前に。
せっかくなのでお昼をとることに。
今回は先生の紹介で、ドジョウ料理のお店へ行くことになりました。
注文したのはドジョウ鍋。
名前通りにそのままですね。卓に置かれたインパクトも十分。
予め煮て火を入れたドジョウを、タレを入れた鍋で煮込み、しっかりと火が入ったらネギを入れて完成。
泥臭いのかなという予想がありましたが、そんなことはなく、身もしっかりとしていました。
ネギの風味も相まって、非常に美味な一品でした。