新春迎えた睦月某日、小説・マンガ創作科は両国にある江戸東京博物館へと芸術鑑賞のため出かけました。
目的は、特別展覧会の大浮世絵展。
両国国技館の目と鼻の先に建てられてた江戸東京博物館は、昨春で開館20周年を迎えました。
それを記念し開かれたこの大浮世絵展では、国内外から数々の名作が集められました。
江戸初期から大正・昭和にかけての新しいものまでを含めた、350点もの作品があります。
今回は日本が誇る浮世絵美術の世界へと、足を踏み入れます。
残念ながら、特別展内の写真撮影は禁止されているため、作品の写真はありません。
少しですが、学生たちが反応を示した作品を幾つか紹介したいと思います。
学生が書いたレビューも載せさせてもらいました。
最初に目を引いたのは、国宝の「風俗図屏風(彦根屏風)」でした。
六面一隻(六の面で一つの屏風になる)構成の作品であり、近世風俗画の代表作であり、浮世絵の源流とも呼ばれているとか。
今日がちょうど展示の最終日ということもあり、観覧者も多かったです。
葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一つ、「神奈川沖浪裏」の原画も展示されていました。
巨大な波がうねる中、三隻の船と、画面の中心に富士を構えた構図の作品です。
非常に有名な浮世絵ですので、名前では思い出せなくとも見たことはあるはずです。
中高の歴史や美術の教科書などにも、この絵が登場しているはずです。
自分がその時目にした浮世絵の中で一番惹かれたのは、甲州三嶌越であった。
富士の絵、人の絵、自然の絵が描かれた作品は多くあった。その中でもそれぞれに意味があると感じ取れたのはこの作品だった。
富嶽三十六景は様々な場所から富士が描かれている作品で。
その中の甲州三嶌越は絵の中央に大木が聳え立ち、その後ろに富士が佇み、大木の根本で旅人が手をひろげ幹を囲んでいます。
葛飾北斎は森羅万象を描いたとされ、生涯で三万点以上もの作品を描き、中には絵本をも書いています。
葛飾北斎の絵はゴッホなどの芸術家のみならず工芸家や音楽家にも影響を与えています。
ここで甲州三嶌越の話に戻しますが、最初にこの絵にはそれぞれに意味があると述べました。
まず大木の根本にいる旅人たちは手を大きくひろげ幹の太さを実感しています。
大木は真ん中に大きく描かれていて、途中から伸びている枝は後ろに描かれた富士の斜面の角度と同じだそうです。
それは同じで自然を意味しているのかもしれません。
自然からしてみれば、人はこんなにも小さいのだということと自然は美しいということがわかりやすく描かれていると思いました。
富嶽三十六景には人々が多く描かれています。物づくりをする人、富士を眺める人、田植えをする人など様々です。
これは、葛飾北斎が富士ではなく、富士の近辺に生きる人々に注目して描いたのではないかと思います。
今回は二点の紹介となります。次回の記事で、もう二点作品を紹介したいと思います。