前回の『ファミ通文庫』川﨑編集長代理の特別講座に続いて、小説創作科の後期授業期間に行われた特別講座を掲載します!
なお特別講座とは、学校外部からプロの作家や編集者、業界人をお招きして、そこで得られたアドバイスや業界の情報を、自らの創作活動に活かしていくことを目的とした授業です。
この日行われた特別講座は、テーブルトークRPGの制作・販売をしている『スザク・ゲームズ』の代表取締役にてゲームデザイナー、翻訳家、作家と活躍されている朱鷺田祐介氏をゲストにお招きして行われました。
講座では事前にご用意いただいた資料として、縄文時代の東京を表した地図が配布されました。地図は縄文海進期といって7000年まえごろに日本で発生した海水面の上昇がもたらした影響によって新宿・渋谷などが一時期海の底だったことを表しているとのこと。
また、同様に江戸時代の新宿近辺の地図も配布。今でこそ高層ビルが立ち並ぶオフィス街の西新宿ですが、その昔新宿中央公園のあたりは多数の茶屋や料亭が軒を連ねる花街であり、学校の校舎近くには、十二社池という池が存在し川が流れていたとのことです。
講義を通して、作家を志すのであれば、まず多くのことに興味を持つこと。さらに深く調査をして知識を得ることの重要性をレクチャーしていただきました。
また朱鷺田氏は知人の方と『ツインテール』という髪型の範疇について真剣に話し合ったということを例に上げ、1つの物事に対して深く突き詰める姿勢の重要性についてもお話いただきました。
では今回の特別講座は、学生目線ではどのように感じられたのか、
下記に参加した学生から寄せられた授業レポートを掲載します。
小説・マンガ創作科2年 寄稿
特別講座レポート
講義の中でクリエイティブに必要なのは直感、個性、知識という言葉に共感しました。
当たり前のことのようですが、これらのバランスが崩れてしまった結果、作品そのものが独りよがりな仕上がりになってしまうのはよくあることです。
小説に置き換えると、ふと、書きたいテーマが頭に浮かんだとして、知識が足りなければすぐには執筆作業に移ることはできません。
また、知識が不足していれば疑問を調べる術にすら辿り着けない可能性もあります。何がわからないのかがわからない、という状態になってしまうこともあるでしょう。
とはいえ、知識だけでテンプレートに沿った作品を作ったところで、既存の作品と類似していると切り捨てられるだけですし、何より自分の色を出さずに書くことには意味がありません。
また、知識の浅い人が個性を獲得することは難しいとも考えます。
無知が過ぎると、自分と人との差異を判断することすらできない場合があります。知識を深めるということは、視野を広げるということと同義なのです。
例えば、何かしら社会問題を取り上げて小説を書こうとした時に、一社の新聞だけ読んで書けば、そこで展開される見解は作者の意見ではなく、社説を物語調に語っただけです。
様々な情報を取捨選択していく過程の中で、個人の思想や主張が出来上がっていくのです。
それは朱鷺田さんが仰っていた、オリジナリティを育てるには色々勉強して自分のフィルターを作ること、にも繋がると思います。
個人的には、書籍などの媒体から知識を得る努力はしていますが、授業内で紹介されたような、都内の歴史ある場所を巡るなど足を使ったアウトプットは疎かになっているので、それを今後の課題にしたいと思います。