今回の小説創作科フィールドワーク実習の取材地は、日本を代表する観光地として外国人からも大人気のスポット浅草。
江戸時代から続く最古の商店街「仲見世」をはじめ、下町ならではの雰囲気を感じながらふらっと歩くだけでも、その活気に触れて創作意欲が刺激されますが、川端康成、永井荷風、池波正太郎など多くの文豪が愛し、その作品の舞台としている町に思いを馳せるのも一興ですね。
しかし、もちろん学生は観光するのが目的ではありません。
今回の共通課題は『自分のベストショットを1枚提出し、タイトルをつけよ』というもの。
ちなみに小説のタイトルはインパクトのあるものが多く、その完成度は知識や作家のセンスが大部分を占めています。
そのようなレベルに達するには実践あるのみ。
今回はイラストではなく、一枚の絵(表紙)とタイトルという関連性から写真とタイトルという組み合わせで挑戦してみます。
このようにフィールドワーク実習は発想の転換を学ぶことで自分だけの作品スタイルを模索する場でもあるのです。
なお、課題はタイトル制作だけではありません。
●浅草で食したものを一品(店名と商品名)あげたうえで(800文字程度)描写せよ。
※料金が高い安いではなく、読んでおいしそう、食べたいと思える文章を意識する。
●終日撮影した画像(3枚)を使ってショートストーリーを作成しなさい。
※場所は違うところで文字数は2000字を目安とする
※挿絵扱いではなく、その3枚から得たアイデアを条件とする
上記課題を選択して創作します。
実際にその場所へ行き、五感から得た経験はリアルな描写をするための知識としてだけではなく、オリジナリティを構築するためのヒントへもつながります。
学生の中には事前にリサーチをして、すでに訪れる場所やお店の狙いを絞っている者もおり、雷門前で集合した後はそれぞれの目的地へ向かいながら撮影したり、思い浮かんだことをメモしていました。
そしてひと通り浅草周辺の取材が終わると、今度は隅田川を渡って徒歩30分程度で到着する日本最大の自立式電波塔『東京スカイツリー』へ移動。
スカイツリーのエントランスにて一旦集合した後、団体用受付から高速エレベーターに乗ると一気に地上350メートルの高みへ。
東京ディズニーリゾードや新宿高層ビルを一望できることから高さを実感したのはいうまでもありません。また、この日は天気が不安定なこともあり青空と雨雲の切れ目を見ることができたことも高さを実感する要因となったことをオマケとして触れておきたいと思います。
古から新へ、時代の流れを感じながら課題に取り組んでいた学生たち。
楽しみながら五感で取り込んだ経験で、新しい発想やアイデアを生み出すことができたでしょうか。